夫婦で起業するのはおすすめ? メリット・デメリットを解説!

私生活を共にするパートナーと起業をする。 ともすれば、双方を失ってしまうリスクも含むライフスタイルですが、エンターテイメントの世界には夫婦同業というカップルも珍しくありません。デメリットが多そうなライフスタイルからパワーを生み出す秘訣とは?

2019.2.20

夫婦での起業はクリエイティブの世界では相互作用が期待できる?

パートナーと同業、または職場を共にすることは、メリットよりもデメリットが多いというのが世間一般の常識になっています。職場でのゴタゴタは、できるだけ家庭には持ち込みたくないもの。それなのに、いやでもそれを思い起こさせる存在がプライベートで最も近しいパートナーであることは、想像するだけで気が重くなります。
しかし、クリエイティブな職業では、双方をよりよく理解し、あまつさえお互いの魅力や才能を引き出す存在ともなりうるカップルが多いのです。
これは、通常のビジネスの世界にも通用するのでしょうか。
心理学者ジョヴァンニ・アリコーが、そのメリットとデメリットを明快に語っています。

夫婦での起業 メリット編

①信頼関係が盤石となる

ともに夢に向かって邁進するという目的のもと、煩瑣な手続等もともに乗り越えていくカップルは、相互の信頼関係を盤石にすることができます。あえて、こうした冒険に挑み、目的を達成させることができたカップルはまさに「理想」というべきかもしれません。
しかし、アリコー教授によれば、これを可能にするのは既にカップルとしての絆が相当に強まった状態であること、仕事への双方の熱意が本物であるという条件に限られるのだそうです。

②パートナーの新たな魅力を発見できる

私生活や会社でお互いの姿を見てきたカップルにとって、起業するにあたっては相手のパーソナリティーは明確に自分の中にイメージされているのが通常です。
ところが、いったん起業すると、雇用されていた時代とは異なる難題が山積しています。その状況の中でより密接にコンタクトを取り続けていれば、自分の描いていたイメージとは異なる相手の姿を目にすることになります。
それが魅力となる場合もあれば、うんざりする場合もあるかもしれませんが、阿吽の呼吸で難関を乗り切るきっかけになる可能性もあります。

③共に過ごす時間が増える

お互いに仕事を持ち、しかもそれなりに重要なポストを与えられているカップルの場合、朝から深夜まで仕事をこなせば、共に過ごすわずかな時間も疲労で会話が成り立たないことも多いでしょう。
しかし、起業し共に過ごす時間が増えれば、お互いの疲れ具合やその日の気分も明確に見えてきます。そこから、パートナーへの思いやりが生まれるのです。
ところが、こういったメリットも裏を返せば諸刃の剣。一緒に過ごす時間が長すぎることで、些細なけんかも増えるかもしれません。そのあたりは、互いに大人になり、上手にやり過ごす必要があります。

夫婦での起業 デメリット編

①パートナー以外の同僚たちへの配慮

私生活を共にするパートナーの存在が大切なのはもちろんですが、仕事の世界におけるバランスは、その他の同僚や交渉相手との関係があってこそ保てるものです。そのために、パートナーの思惑を気にするだけではなく、時には独断で決断することも必要になります。
その際に、パートナーの理解が得られることが大切でしょう。これはパートナーとの私生活がうまくいっているかが大きく関係しています。

②話題が仕事のことばかりに

カップルが起業した場合、最も話題になるのが「私生活も仕事の話題だらけ」になってしまうというデメリットです。典型的なワーカホリックの症状といわれるこの現象は、職場を共にしないカップルにも生じやすいといわれています。
プライベートの生活が仕事の話によって浸食し始めると、カップルの関係も崩壊の兆しが。「私」と「公」の間には、きっぱりとした境界線が必要です。

③ストレスも倍増する可能性が

アリコー教授は、カップルで起業を考えている人たちには着手前にストレスの対処法が単独でできるかどうかを分析するそうです。
というのも、起業後に起こるさまざまなゴタゴタをプライベートにまで持ち込むことで、互いのストレスが相互作用し倍増するケースが非常に多いからだそうです。相手を巻き込まずに、自分のストレスは自分で処理をすることが、カップルで起業する場合の重要なカギになるのです。

カップルで起業するためのアドバイス

アリコー教授のアドバイスは、次の4つです。
① 互いの状況を熟知するために能動的な会話を増やす
② 私生活においては、積極的に関係を持続するためのロマンチックな演出を怠らない
③ 従属的な関係は避ける
④ 仕事中も相手への思いやりをジェスチャーで示す
カップルで起業することの最大のリスク、それはいっぺんに愛情と仕事を失う可能性を含んでいることです。しかし、人生を共にする人と夢を追うことは、これまた別の喜びを私たちに与えてくれるのです。
井澤 佐知子

井澤 佐知子

イタリア在住十数年、美術と食をこよなく愛す。眼下にローマを見下ろす山の町で、イタリアのニュースを発信中。
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