流される力(5)流されてみると新しい自分を発見できる

流される力
自分の「我」や「未熟なこだわり」を捨て、結果を出している人のアドバイスを素直に聞いてそのまま行動する、これが「流される力」=信託思考です。より多くの人に流されることで、速く成長し、人生の成功を手にできます。泉正人著「流される力」より抜粋。

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流されてみると新しい自分を発見できる

流される、つまり思考信託をすると、おもに次のような2つのメリットがあります。
①自分の頭では考えられない経験ができ、新しい自分を発見できる
②短期間で成長し、日標に最短距離でたどりつくことができる
まず、① 「自分の頭では考えられない経験ができ、新しい自分を発見できる」ことから見ていきましょう。
先の例のように、僕が「ワインは自分には合わない」と決めつけたままだったら、ワインの世界の奥深さにずっと気づかずにいたでしょう。
英語恐怖症のままでいたら、現在のように海外に行ったり、外国の方と交流する楽しさを知らずに日々を過ごしていたでしょう。
このような体験は、読書でもできるでしょう。
自分がふだんは絶対手にとらないような本を人からすすめられると、「あまリミステリーは読まないので」「ビジネス書は自分にはむずかしいので」と言って拒絶してしまうケースは少なくありません。
しかし、自分の考えや趣味はいったんわきに置いて、他人のアドバイスを素直に聞き入れてみると、「ミステリーも意外と面白い」こんなにわかりやすいビジネス書があるんだ」というように、新たな視点や感動を得られる可能性があります。

住まいを変えたら視野が広がった

小さいころから東京の郊外に住んでいた僕は、そのエリアでの生活に慣れていたため、何度か引越しをしても、その郊外のエリアから外へ出ることはありませんでした。
ここでもまた、僕は自分自身の“思考の器〃にとらわれていたのです。
ところが、新たな引越し先を探しているときに、最先端の商業施設や情報などが集まる表参道に住んでいる方から、「表参道に住むといいよ」というアドバイスをいただきました。
その方はけっして気まぐれで言ったわけではなく、自分自身が表参道に住んだ体験に裏づけされた「思考」をもとにすすめてくれました。
つまり、「人は住むところでライフスタイルや趣味が変わり、その変化とともに付き合う人も変わってくる。それが自分自身の成長につながる」という思考にもとづいたアドバイスだったのです。
引越しをするには当然お金がかかります。都心に近づけば近づくほど家賃も高くなるのは常識です。
しかし、僕はアドバイスをしてくれた方とは信頼関係を築いていました。
その方が、「表参道に住めば、負担する費用以上のリターンが得られる」と判断したうえですすめてくれたのであれば、悪い方向にはいかないと考えたのです。
僕はその方の思考に信託し、すぐに引越しを決めました。
すると、生活ががらりと変わりました。
まわりの物理的な環境が変わっただけでなく、ライフスタイルや通うお店も変化しました。そして、付き合う人や仕事にも前向きな変化が見られるようになりました。
また、流行に敏感な街で、家の近くを歩いていてもいろいろな情報が入ってくるので、世の中の流れをつかむ感度が鋭くなったように思います。
表参道に引っ越すことで、いままでにはない視野の広がりを感じることができたのです。
僕がワインや英語に苦手意識をもっていたように、いつもの自分のやり方にこだわっていると、すでに敷かれた古いレールの上を走り続けることになります。
一方で、

流されると、これまでにない発見があったり、新たな人とのつながりができるなど、新しいレールが見えてきます。

一度「我」を捨てて思考信託をすると、見えていなかった自分の可能性を発見し、思ってもいなかった方向に成長できるのです。

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泉 正人

ファイナンシャルアカデミーグループ代表、一般社団法人金融学習協会理事長

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。

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