2018年7月9日 更新

AIはもっともっとコミュニケーション上手にならなくてはいけない

面倒な作業をしてくれたり情報を提供してくれたりする便利なAI。これらの機能に加えて、今後のAIにはコミュニケーション相手という役割も期待されています。人間とのコミュニケーションにおいて、AIには「聞き手」という受動的姿勢も求められているのです。

たとえば<トーキング・アリー>という、いびつな「目玉おやじ」のような姿のロボット。人が近づくと「あのね、えーとね」と話し出します。<トーキング・アリー>の前段階は、「オハヨウ」「アリガトウ」「アイシテル」と流暢に話すものでした。ところが、街の子供たちの反応はあまり良くない。ただ言葉を発するだけでは、「会話」にならないのです。
そこで、<トーキング・アリー>には人の目や表情を追跡する機能と、たどたどしく話す機能を搭載。社会学者グッドウィンが指摘する「聞き手性」(発話の節目で視線や姿勢を話し手に向けて「聞いてるよ」という態度を示すことなど)を考慮しました。そうすることで、<トーキング・アリー>は、どこか人間味を感じるような存在となったのです。
<トーキング・アリー>はまだ話し手ですが、こうした観点はAIが聞き手になる場合にも重要。博識なAIがどんなにしゃべっても、それだけではコミュニケーションは成立しないからです。人間が話し手の場合、AIは「聞き手性」を示さなければなりません。これからのAIには、作業遂行や情報提供といった能動性だけでなく、人間の言葉や反応を待ち「聞き手性」を発揮する受動性も求められるのです。
【参考】
パロとは?|大和ハウス工業
http://www.daiwahouse.co.jp/robot/paro/products/about.html
岡田美智男『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』講談社、2017年

Anshi

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